ハイドリズム18【2025年6月10日発刊】
¥5,500円(税込)
A4版74ページ
発行日:2025年6月10日
水素業界専門誌
水素を市場世界から見つめる専門誌
インフレ由来のコスト増と国際的な政策転換で水素大規模サプライチェーン構築にブレーキ
試練の時を迎えた海外調達はアンモニアが先行 国内ではグリーン水素実証始まる
・サプライチェーン構築
液化水素サプライチェーンの商用実証、川崎臨海部での設備建設が着工
・サプライチェーン機器開発
2050年カーボンニュートラルに向けて燃料アンモニア用ポンプ、3社が技術開発を加速
サプライチェーン構築
インフレ由来のコスト増と国際的な政策転換で水素大規模サプライチェーン構築にブレーキ
試練の時を迎えた海外調達はアンモニアが先行 国内ではグリーン水素実証始まる
インフレの進展に伴うコスト増や諸外国の政権交代に伴う政策転換の影響もあって、脱炭素化の切り札といわれた水素の利活用にも逆風が吹き荒れている。
2030年代を見据えた海外からの大量水素サプライチェーン構築の計画見直しが出てきている。奇しくも、今春は商用化初期段階の事業を見通す上で重要な施策である価格差支援等の公募申請締切の時期であり、商用化投資を目前に控えたタイミングでの見直しに水素エネルギー開発は大きな試練を迎えているといえる。ただ、そうした状況下でも、既存インフラを活用できる燃料アンモニアサプライチェーン構築に向けた動きは活発化しており、国内ではCO₂排出を伴わない再エネ由来のグリーン水素を活用した実証が複数スタートしている。
サプライチェーン構築
液化水素サプライチェーンの商用実証、川崎臨海部での設備建設が着工
水素調達の契約を変更し30年度の実証完遂へ
液化水素による国際間の水素供給網の確立に向けた実証事業が進展する。
川崎重工業と岩谷産業が共同出資する日本水素エネルギーでは、グリーンイノベーション(GI)基金事業の「液化水素サプライチェーンの大規模実証」で採択を受け、実証事業を進めている。本事業は、国際間での水素サプライチェーンの商用化に向けた技術実証を進めることを目的としており、当初の計画では豪州からの水素調達を前提としていたが、実証完了期限の2030年までに確実に実証を完遂するために、豪州産水素から国内産水素を使った実証に計画を変更し、今年5月末には実証の拠点となる川崎臨海部での実証設備の建設工事にいよいよ着工した。
変更した実証プランや、液化水素サプライチェーンの商用化への道筋を、同実証を進める日本水素エネルギーに訊いた。
サプライチェーン機器開発
2050年カーボンニュートラルに向けて燃料アンモニア用ポンプ、3社が技術開発を加速
徹底した漏洩対策がテーマ
カーボンニュートラル実現に向け、その一手として燃料時にCO₂を排出しないゼロエミッション燃料であるアンモニアが注目を集めている。これに伴い、アンモニアを燃料として活用する際の重要機器である燃料アンモニア用ポンプの開発も本格化してきた。