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水素・燃料電池マーケティング・ブック

ハイドリズム

水素と燃料電池を
市場世界から見つめる専門誌

グリーンイノベーション基金事業スタートで顕在化してきた水素社会実装の課題
・水素キャリア
 液化水素・MCH・アンモニア、大量輸送見据えサプライチェーン実証開始
・モビリティ
 陸海空に広がる燃料電池モビリティ
・水素の地産地消
 山梨県、P2Gシステム普及フェーズへ
・CCUS
 船舶によりCO2海上輸送実証、世界に先駆けて日本でスタート
・もう一つの脱炭素燃料アンモニア

※ハイドリズム2、4、5の在庫は僅少となっております

  • A4版 100頁
  • 発行日:2022年3月31日
  • 5,500円(送料・税込)
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序説

総額2兆円グリーンイノベーション基金事業スタートで改めて顕在化してきた水素社会実装の課題

商用段階で需要家が許用できるコスト供給可能か?

2021年は2050年脱炭素社会の実現に向けて大きな動きがあった。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に創設された総額2兆円のグリーンイノベーション基金(GI基金)を活用した実証事業がスタートしたのである。対象となるのは政府が20年12月に策定したグリーン成長戦略に記した14の重点事業分野に関わるもので、実機を使った技術実証に公的補助が加わることで、参画する企業側にもリスクを低減した形でチャレンジすることができる。22年2月現在、既にいくつかのプロジェクトが採択を終えている。GI基金プロジェクトの中心は水素、燃料アンモニアであり、ここでは大量サプライチェーン構築に関わる海外の資源開発(水電解装置を含む)から輸送船、そして国内の発電や鉄鋼など需要家サイドに亘るものまでカバーしている。実機レベルの機器・設備の性能や機能確認やサプライチェーンを構成する仕組みづくりが大きく進展し始めた一年だったといえる。

サプライヤーに訊く

実機実証フェーズに入った液化水素サプライチェーン構築は、商用化の可否を見極める重要な期間

岩谷産業津吉 学 取締役専務執行役員 水素本部長

2021年は海外からの大量水素サプライチェーン構築において大きな動きがあった。2030年の商用化を見据え、同社がかねてからパートナー企業とともに進めてきた海外からの液化水素サプライチェーン構築が実機による実証段階に入ってきたのである。GI基金で採択された同実証では、内容積4万㎥の液化水素タンクを搭載した液化水素運搬船を使い海外で製造した液化水素を国内に輸送してくる。約3000億円の事業予算のうち、約2200億円の支援を受け2029年度までの9年間実施する計画だ。「総額2兆円に上るGI基金では、液化水素をはじめMCHや燃料アンモニアといった供給サイドから火力発電や製鋼プロセスなど需要サイドまでサプライチェーン全体を通じて実運用を見据えた開発投資に政府支援をいただき、我々企業サイドとしてもリスクを下げた形で取り組めるので大変有難い。22年以降の9年間の実証期間に実際の実機を製作し技術的な課題をクリアした上で、次の商用化段階にステップしていくか見極めたい。

水素ステーション動向

水素ステーション整備数168ヶ所に

水電解を使ったオンサイト式やHDV対応など従来とは異なる仕様も登場
本誌では商用化初期からFCV向け給水素インフラである水素ステーションの整備数を追ってきたが、次世代自動車振興センター(NeV)の水素ステーション設置補助事業によると2021年度(令和3年度)は20件が確定、今回確定分を合わせた国内商用水素ステーション整備数は168ヶ所となり、そのうちの158ヶ所が、22年2月現在、開所している。国内水素ステーション整備を牽引しているのが、ガソリンスタンド併設型の水素ステーションを中心に進めるENEOS、産業ガスメーカーの岩谷産業と日本エア・リキードで、この3社で国内の水素ステーション運営の約7割を占める。21年度NeV案件での佐藤燃料(福島県)や伊達重機(福島県)など、地方を拠点とする地場企業が運営に名乗りを上げる姿も徐々に増え始めている。国内のインフラ整備を加速させるため民間企業有志で設立されたJHyM(日本水素ステーションネットワーク合同会社)による地道な〝勧誘〟が奏功したとも言える。

モビリティ

陸海空に広がる燃料電池モビリティ

ドローン、草刈り機、自転車、船など

燃料電池を使ったモビリティ開発が進んでいる。これまで燃料電池自動車(FCV)、FCバス、FCトラックなど水素を大量に消費するモビリティ開発が進んできたが、カートリッジ式で水素供給を想定している小型分野にも用途が広がっている。ドローンや草刈り機、自転車、船など幅広く燃料電池が使われ始めている。燃料電池運用において最も課題の多かった空分野ではドローンベンチャーであるドローンワークスとロボデックスの2社がテストフライトに成功、大阪のドローン企業である菱田技研工業も新たに大臣特認を取得した。 

水素の地産地消

山梨県P2Gシステム普及フェーズに突入へ

再エネ水素による燃料の非化石及び電化切り口に

昨年6月、米倉山電力貯蔵技術研究サイト(山梨県山梨市)に設置したP2G(Power To Gas)システムの試運転を皮切りに、山梨県(以下、県)幹事の下で開始したグリーンイノベーション基金事業『再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト』の採択案件「大規模PEM型水電解装置の開発、熱需要の脱炭素化実証」(9月)、そして今年2月末の県、東京電力ホールディングス、東レで国内初となるP2Gシステムに関する事業会社『やまなしハイドロジェンカンパニー』の設立など、県が主体となって変動電力への追随性で優位に立つ固体高分子形(PEM形)水電解装置を活用したP2Gシステムに関する取組みが目下進められている。
もともと県としては再生可能エネルギー蓄電システムのひとつに過ぎなかったP2Gシステムだったが、2016年11月にNEDO事業として採択された「CO2フリーの水素社会構築を目指したP2Gシステム技術開発」を進めるうちに、再エネの貯蔵だけでなく製造した水素の活用が脱炭素化へと向かう中で電化の難しい工場を中心に貢献できるといった観点から、P2Gシステム普及拡大へ舵を切った。

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